農薬散布ドローン:産業用ドローン最新トレンドウォッチャーVol.27

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月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。第27回のテーマは「農薬散布ドローン」です。日本だけでなく、世界各国で多くの産業用ドローンが飛行する昨今、さまざまな領域でそれぞれのシーンに応じた特化型のドローンが開発されています。当初は空撮だけだった産業用ドローンの領域もここ数年で、インフラ点検や測量、物資の輸送、災害対策などなど、非常に多岐に渡るようになりました。

そんな産業用ドローンの中でも、特に熱い視線を集めているのが農業領域におけるドローンです。農業領域においては、農薬散布用と精密農業用の2つに大きく分かれますが、特にこの時期(執筆段階では7月です)は、日本各地で農薬散布が盛んにおこなわれている季節です。今回はそんな圃場で活躍する農薬散布用ドローンについて紹介していきたいと思います。

農薬散布におけるドローンの活躍

農業とドローンの関係性

日本の圃場において、6~8月を中心におこなわれる農薬の散布。稲の発育に必要な農薬を散布し秋の収穫に備えるわけですが、この農薬散布において最近はドローンの活躍が目覚ましいものとなっています。

農薬散布はこれまで農家の方が農薬を背負って、手元のシャワーのように出る噴霧器を使っておこなったり、大型のラジコンヘリを使って上空から散布していたりしました。しかし、今後の日本の農業は担い手の集積や大型機械の導入による大区画化が進む見通しとなっている中、さらに効率的に、そして安全に農薬散布をおこなうことができる方法はないかとなった時に白羽の矢が立ったのがドローンでした。

ドローンを活用した農薬散布のメリットとしてまず挙げられるのは、低空から決まった場所に安定して散布ができることです。従来のラジコンヘリはシングルローター構造であるがゆえ、その操縦が非常に難しく慣れたベテランフライヤーでもホバリングをしながら高度も一定に保ち決められた場所に農薬を散布するのは非常に難しいものでした。

しかし、各種センサーやGPSを活用して決められた場所と高度でピタっと静止することができるドローンですと、常に一定の高度から指定の場所だけに農薬を散布することが可能となったのです。シングルローターヘリよりもさらに低い高度から散布も可能なので、農薬が散らばる可能性も低く、安全面でもドローンが優位といえます。

さらにGPSを活用すれば、アプリを使ってドローンの飛行ルートを事前に設定し、自動で散布することもできます。そのため非常に効率良く農薬散布をおこなうことが可能となりました。

一方で、シングルローターのラジコンヘリのほうが、搭載できる農薬の量や燃費について、これまで有利とされてきました。しかし、後ほど紹介するDJIの最新機などは、16Lの噴霧タンクを搭載でき、18000 mAhバッテリー、離陸重量29.5kgで15分の飛行ができるようになるなど、ドローンも日々改善を続けています。多くのメリットがあるドローンによる農薬散布が圃場における当たり前の風景になることも近いでしょう。

「AGRAS T20 日本版」の優れた散布能力

そんなドローンを活用した農薬散布において、ドローン界の巨人であるDJIが黙っているわけありません。早くからこの領域に着目したDJIは「AGRAS MG-1」という機体で農薬散布領域に参入してきました。そして、現在はその最新版である「AGRAS T20」という機体で、日本の圃場を制圧しようとしています。今回はこの「AGRAS T20」の日本版の機体を紹介したいと思います。

「AGRAS T20 日本版」ですが、農薬散布における現場の要望ほとんどに応えることができる仕様になっているといっても過言ではありません。

まず大きく進化しているのが効率性の部分です。この「AGRAS T20 日本版」では16Lの農薬を搭載して、7mの噴霧幅で非常に効率よく農薬を散布することができます。前作の「MG-1P RTK」と比較しても2倍の噴霧効率を実現しており、1時間あたりの作業効率も+100%以上と大きな改善がなされています。

また、「AGRAS T20 日本版」では内蔵されたRTKによって、cmレベルの精度を誇る測位システムとRTKドングルによるウェイポイントの設定が可能となっています。これにより、非常に正確な散布を可能としています。

さらに、この「AGRAS T20 日本版」は8のノズルを4本のアームの先端に装備しており、最大で毎分6リットルもの噴霧ができるようになっています。機体に搭載された4チャンネルの電磁式流量計によって、アーム先端へとつながるホースを制御し、すべてのノズルの一番効率的な流量率を確保することが可能です。

「AGRAS T20 日本版」の高い飛行性能と安全性

散布性能以外でも注目点は多くあります。特に飛行安全性については、「AGRAS T20 日本版」は非常にこだわった造りとなっています。そのひとつが全方向デジタルレーダーです。これによりあらゆる障害物を水平方向から検知することが可能です。さらに飛行している機体は障害物があると自動で回避してくれるので、散布作業中でも安心して飛ばすことができます。

機体自体は折りたたんで持ち運ぶことができるため、大型機ながら使い勝手の良さは抜群です。さらに、噴霧タンクやバッテリーは簡単に交換することができるので、作業を中断する時間も短時間で済み、結果的に作業の効率化につながります。さらにすべてのコアモジュールが保護等級IP67に対応しているので、機体は水を使って簡単な清掃をおこなうことができるのも見逃せません。

操縦は大きく刷新された「AGRASスマート送信機2.0」でおこない、DJIが提供する「AGRASアプリ」によってスムーズな操縦ができます。スマート送信機は超高輝度5.5インチディスプレイを搭載していますが、運用を考え強い日差しの下でも視認性が良いものとなっています。これにより操縦者はストレスなく、「AGRAS T20 日本版」の飛行をおこなうことができるでしょう。

まとめ

今回は農薬散布領域におけるドローンの活用メリットと、その最新機である「AGRAS T20 日本版」の紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか?今後、ICT農機具とドローンのコンビにより、農業は大きくその姿を変えていくことでしょう。そういった未来の農業において、圃場で活躍するドローンの姿を想像するだけで、今から楽しくなってくるものです。今後も農業分野でのドローンの情報を常にチェックしていき、随時お伝えしていきたいと思います。

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