鳥獣対策:産業用ドローン最新トレンドウォッチャーVol.28

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月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。第28回のテーマは「鳥獣対策」です。

産業用ドローンがさまざま領域で活躍し始めているのはご存知のとおりですが、田畑を荒らす鳥獣の対策にドローンの活用が模索されているのは意外と知られていないかもしれません。

今回はそんなドローンを使った「鳥獣対策」について紹介していきたいと思います。

深刻な鳥獣被害による農作物の被害

そもそも日本では野生の鳥獣による農作物のどのくらいの被害が出ているのでしょうか?農林水産省が調べたところに拠ると、野生鳥獣による農作物被害は、平成30年度で約158億円にものぼるとのことです。

平成30年度の時点で6年連続で減少しているとはいえ、約158億円というのは非常に大きな額であり、その被害の深刻さが分かります。また、その被害額だけでなく、鳥獣被害は農家の方の営農意欲の低減につながるなど、数字以上のインパクトがあるとされています。

農林水産省ではその被害の深刻化と広域化を鑑み、平成19年の時点で鳥獣被害防止特措法を成立させ、さまざまな被害防止のための総合的な取り組みを市町村が中心となり主体的におこなうことに対して国がさまざまな支援をおこなうこととなりました。

鳥獣被害が深刻化する中には、農家の高齢化、農家総数の減少による大区画化、猟友会会員の減少などとともに、農作物の植えてある田畑と、鳥獣が暮らす山林の距離が近くなってしまっていることなども挙げられています。

そんな中、国も農林水産省や総務省が中心となり、鳥獣被害にICT機器を活用して対策を施していくようになりました。そこで登場するのがドローンとなります。

ドローンを活用して鳥獣を可視化する

それでは田畑を荒らす鳥獣に対して、ドローンでどのようなことができるのでしょうか?

まずは赤外線サーモカメラを活用した鳥獣の個体数の把握です。上空から普通の空撮をおこなっただけでは木に隠れて山肌が見えないので鳥獣の姿も見ることができません。しかし、サーモカメラを使えば体温のある鳥獣を簡単に上空から見付けることができます。その姿形から判別すればどのような種類の鳥獣がおおよそ何頭潜んでいるのか、手に取るようにわかることでしょう。また、夜中に活動する鳥獣でも、赤外線カメラならばその動きを補足することができます。

さらに個体数を把握しつつ、その種類や生態なども同時にドローンで情報収集をすることで、次の対策が立てやすくなります。特に獣道に関する情報は非常に大切で、この獣道を正確に把握できると、どこにどんな鳥獣がいつ出現するか分かり、地域で巡回パトロールをすることで田畑を荒らされずに済んだり、猟友会と連携して捕獲することも可能です。

人間の目線からではできない個体数や種類の把握、鳥獣たちの行動を可視化することは、鳥獣対策をしていく上での第一歩となり、ドローンで取得できるデータはその後の対策に非常に重要なものとなるのです。

ドローンを活用して鳥獣を威嚇する

もうひとつの活用が鳥獣への威嚇攻撃です。ドローンに音の出るスピーカーを取り付けたり、ドローンが出すプロペラの風切り音で鳥獣を威嚇して、田畑から追い出していく方法も実験が続けられています。

最近のドローンでは、例えばDJIの「Mavic 2 Enterprise」ではアクセサリーとしてスピーカーが設置できますし、高速で回転するプロペラはそれだけでも鳥獣には十分に脅威となります。非常にシンプルな方法ですが、こういった方法でも鳥獣対策をおこなうことができます。

まとめ

今回はドローンを活用した鳥獣対策についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?冒頭に記載した通り、鳥獣による農作物の被害は年間で非常に大きな被害が出ており農地の大区画化が進む昨今、さらに深刻化する可能性もあります。そういった中でドローンやICT機器を活用することで、効率的かつ正確に鳥獣に対して対策を施していくのは、今後の農家の状況を考えると必要不可欠なものでしょう。この領域についても当サイトでは引き続きウオッチしていきたいと思います。

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