世界的な広がりを見せる新型コロナウイルス感染症ですが、日本においても甚大な被害を及ぼしており、今後の世界がどうなっていくのか、なかなか検討がつかないものとなっています。
一方、日本は古来より自然災害の多い国として、有史以来これまで何度も苦しめられてきました。地震や津波、台風、洪水といった自然災害は防ぎようがなく、これに対して完璧な対策が打てることはありません。
しかし、これまで日本が培ってきたさまざまな対策によって、その被害を軽減していくことは可能です。そんな対策のひとつにドローンの活用があります。この新しいソリューションは、緊急時に大きな力となってくれます。今回はそんな災害対策用のドローンについて見ていきたいと思います。
活躍する災害対策用ドローン
災害といってもさまざまな種類があり、それに応じて災害対策のドローンも多くの種類が登場しています。ここでは主に災害対策に投入されるドローンの種類と役割について紹介していきたいと思います。
まず一般的な空撮ドローンです。災害発生時には上空からどのような災害が発生したのか、空撮をおこなって状況を確認することができます。普段から空撮をおこなっていれば、災害が発生した際にビフォアアフターで比較することができます。この代表的な例が土砂崩れです。普段とどのくらい地形が変わってしまったのか、巻き込まれた人や家屋、自動車などはないのか、2次災害の危険性はどうなのか。地上からでは分かりづらい状況も、ドローンならば上空から俯瞰した視点で見ることができます。
また、災害は明るい時に起こるとは限りません。夜中に発生した場合でも、ドローンで現場へ駆けつけて要救助者の救出をアシストできるよう、明るい照明を照らすことができるドローンや、赤外線カメラを搭載したドローンも開発されています。こういったドローンは、夜中でも飛行して暗部でも判別できるような装備を搭載することで、24時間いつでも出動できるようになっています。
さらに、赤外線カメラを搭載したドローンは、山中で谷などで遭難してしまった人を救出する際にも大きな力を発揮します。木が覆い茂ってしまっている山間部は、遭難者の姿を捉えるのは容易ではありません。しかし、赤外線カメラを搭載したドローンならば、人体の熱を感知することができますので、それを活用して遭難者を発見することができます。災害とはやや異なるかもしれませんが、山間部での遭難だけでなく、雪崩発生時の救助などにもその力を発揮することができるのではないでしょうか。
他では、ひとたび災害が発生すると土砂崩れなどで孤立してしまう地域が出てしまうことがあります。通信網が分断され、状況がわからなくなってしまっている地域へ、通信手段や医薬品、食料品などを届けるドローンも開発されています。ドローンにこういった支援物資を積み込み、孤立地域へ飛ばして受け取ってもらい、通信手段を確保することで状況の把握やケガ人や病人がいないかの確認などもおこなえます。「人がいけないところへ飛んでいける」というドローンの最大の利点を活かせるのが災害発生時なのです。
進化する災害対策用ドローン
そんな災害対策用ドローンですが、最新のテクノロジーを駆使して機体自体も進化を続けています。
最近では火災が起こっている現場に近づけるほどの耐火性を誇り、火災現場で状況を撮影できるドローンが発表されています。これは、火災現場でも活躍できるように、300℃の熱にも耐えられる耐火性能ボディをもった機体で、火災現場の火の中でも飛行することができ、可視光カメラと赤外線カメラによって火元の近くで捜索活動をサポートすることができる画期的なドローンとなっています。
さらに、実際に要救助者を載せて安全な場所まで届けることができるドローンの開発も進んでいます。これは、洪水などで取り残されてしまった人を助けるために開発されているもので、ドローンの下に人が立つことができるスペースを用意し、搭載されたタブレットでコミュニケーションを取りながら安全な場所まで送り届けるいうもの。人を運ぶため、さまざまな法的に難しい部分やリスクはありますが、直接要救助者を助けることができるという点では、早く現場に投入してもらいたい1機です。
また、河川の増水などによる遭難に対しても、水に着水して川の中を防水カメラで撮影することができるドローンも開発されています。河川での遭難は地上からでは分かりづらいものですが、上空と水中を撮影できるドローンによって、水難事故から救出できる可能性が高くなるかもしれません。
まとめ
このようにドローンはさまざまな災害現場で活躍するソリューションとして、すっかり一般的になってきました。災害発生時はさまざまなリスクが考えられますが、今後は前述の「人が行けないところへ簡単に行くことができる」というドローンの最大のメリットを活かし、自然災害の多い日本において多くの人命救助に貢献してくれることでしょう。
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