全方位に進出してきたDJI産業用ドローン【後編】

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あらゆる産業用ドローンの領域に進出しつつあるDJI。今回は、全世界を座巻するドローン業界のガリバー企業の産業用ドローンラインナップを紹介していく企画の後編になります。前編では汎用プラットフォーム「Matrice200シリーズV2」と測量用ドローン「PHANTOM4 RTK」について紹介しましたが、今回は農薬散布用ドローン、精密農業用ドローン、そして小型産業用プラットフォームを紹介していきたいと思います。

農薬散布用ドローン「AGRAS T20」

これまで人間の手や小型のRCヘリなどでおこなってきた農薬散布。しかし、この分野においてドローンは確かなソリューションとして既に認知されており、年々ドローンを使った農薬散布はメジャーなものとなってきています。そんな中、DJIでは「AGRAS MG-1」でこの領域に参入し、さらに最新機である「AGRAS T20」を日本版として発表しています。

この「AGRAS T20」は、16Lの農薬を搭載でき、7mの噴霧幅を持たせることで非常に効率的に農薬の散布ができるようになっています。機体の特徴として大きのはRTKが内蔵されていることでしょう。非常に精密な測位システムとRTKドングルにより、cmレベルでウェイポイントの記録が可能で、散布作業の効率化と正確な散布を実現しています。

また、「AGRAS T20」には8つもの高出力ノズルが搭載されていることも見逃せません。大容量ポンプとの組み合わせで、最大で毎分6リットルもの噴霧を実現。また、4本の噴霧用ホースをそれぞれのチャンネルの電磁式流量計で監視することで、効率的な流用率を確保する、新しいテクノロジーが搭載されています。

さらに、「AGRAS T20」には全方向デジタルレーダーが搭載されているため、すべての水平方向の障害物を検知することができます。もし障害物がある場合は自動で回避することができ、機体にはFPVカメラも搭載されているため、リアルタイムに機体周辺の状況を監視できるなど、非常に安全性の高い機体となっています。

日本の農薬散布のやり方を大きく変える可能性のあるDJI「AGRAS T20」。今後、この機体が日本各地の圃場で活躍することでしょう。

精密農業用ドローン「P4 MULTISPECTRAL」

一方、農業分野におけるドローンの活躍は農薬散布だけに留まりません。日本の農業は、今後大区画化が進んでいくことが予想され、ICT技術を用いた精密農業が必須となってきます。

そんな中、この精密農業の領域にDJIが投入してきたのが「P4 MULTISPECTRAL」です。名機「PHANTOM4」をベースにしたこの機体は、圃場を上空から空撮することで、作物の状況を正確なデータで取得することができるよう、マルチスペクトル画像システムを搭載したドローンとなっています。

この機体の大きな目的は「農業の見える化」を促進することにあります。機体に搭載された映像システムで作物の状況をつぶさに把握することができます。それを可能にしているのは、機体の下部に搭載されたRGBカメラ1台とブルー、グリーン、レッド、レッドエッジ、近赤外線の5つのマルチスペクトルカメラアレイが一緒になったカメラユニットです。このユニットによって、作物の状況を上空から収集していき、そのデータに基づいた精密農業を展開することができます。

また、機体には測定したデータの精度をより高めるために、統合型の日照センサーを搭載しています。このセンサーはドローンの上部に設置され、太陽放射照度を捉えることで、1日の異なる時間帯でのデータ収集においてもデータの精度を向上させることができるようになっています。これにより、非常に精度の高いNDVI測定結果を収集することができるのです。

さらに、オペレーターとしてありがたいのは、RGB映像とNDVI映像を切り替えながら飛行させることができる点です。これにより、圃場の特に注意が必要な点もリアルタイムで把握することができ、ピンポイントでの追肥などもおこなうことができます。

精密農業は今後の農業を支えていく非常に重要な分野であり、この「P4 MULTISPECTRAL」の存在は、そんな精密農業分野においてとても重宝されていくのではないでしょうか。

小型産業用プラットフォーム「MAVIC 2 ENTERPRISE」

最後に紹介するのは、民生用の最新機「MAVIC2」をベースに、さまざまな産業領域にフィットさせられるように開発された「MAVIC 2 ENTERPRISE」です。この機体はその携帯性やメンテナンスの良さ、そしてサイズを活かし、現場での初動における活躍が期待されるものです。

ラインナップにはパワフルな12MP1/2.3インチCMOSセンサーを搭載したズームカメラが売り物の「MAVIC 2 ENTERPRISE」と、可視画像と熱画像を同時に捉えることができるデュアルカメラを搭載した「MAVIC 2 ENTERPRISE DUAL」の2種類が用意されています。

このうち「MAVIC 2 ENTERPRISE」は、前述のカメラが光学2倍ズームとデジタル3倍ズーム性能を持っており、さらに撮影後に解析メタデータとして使用できるようにGPSタイムスタンプ機能も用意されています。

一方、「MAVIC 2 ENTERPRISE DUAL」には、デュアルカメラによって通常の可視画像と熱画像をリアルタイムで統合することができます。さらに、FLIR社製放射サーマルセンサーを内蔵しており、放射率と反射面のパラメータを調整可能とするなど、より災害や火災の現場で活躍することができる機能を持ったドローンとなっています。

また、両機に共通する仕様としてアクセサリーが挙げられます。機体の上部にアクセサリーを取り付けることで、より特定の領域に特化した機体に仕上げることができます。アクセサリーには暗い場所での捜索を容易にする「スポットライト」や、緊急時に地上の人間とコミュニケーションを円滑にする「スピーカー」、そして現場で他の機体との衝突を防ぐための「ビーコン」があり、これらを活用することで、緊迫する現場において安全に、そして的確にミッションを遂行することができるでしょう。

高い飛行性能を空撮だけでなく、さまざまなシーンで活用できるように仕上げてくるDJI。その最もたる事例がこの「MAVIC 2 ENTERPRISE」ではないでしょうか。

まとめ

2回に渡ってご紹介してきたDJIの産業用ドローン、いかがでしたでしょうか?本当に多くの領域に進出をしてきているDJIですが、それができるのもドローンそのものの性能が非常に高いため。産業用で求められてくる性能は民生用の比ではありませんが、そんなハードルも軽くクリアしてしまうほど、DJIの高い開発力は素晴らしいものがあります。今後もDJIの産業用ドローンから目が離せませんね。

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