ドローンを飛ばしている人ならば知らない人はいないであろうDJI。
この世界トップのシェアを誇るドローンメーカーは、他社が真似できないほどのオリジナリティ溢れる機体を矢継ぎ早にリリースしてくることで知られており、毎年話題作をマーケットに提供してくれています。
そんなDJIですが、2018年は特に産業用ドローンのリリースが目立つ1年でありました。
気づくと産業用の機体もラインナップがかなり拡充されており、あらゆる領域にDJIの機体が用意されている状況です。
そこで今回は、そんな拡大を続けるDJIの産業用ドローンについて紹介していきたいと思います。
Contents
Matrice200シリーズ
DJIの産業用プラットフォームとしてその汎用性の高さが大きな特徴の「Matrice200」シリーズ。
あらゆる領域でその力を発揮できるように設計されているこのプラットフォームは、産業用の機体に求められる高い耐久性と信頼性を兼ね備えており、安心安全の元、オペレーションをおこなえるようになっています。
機体は下向きに単一、もしくはデュアルジンバルを装着することができるだけでなく、上向きにも単一のジンバルを装着することができるため、上方の撮影が必要な環境での運用も可能です。
また、FPVカメラを搭載してツーマンでの運用を容易にしたり、デュアルバッテリーやフライトオートノミーシステムを採用したことで、安全性にも配慮されています。
そんな「Matrice200」シリーズは、汎用性の高さから使用が想定されるシーンも非常に多岐に渡ります。
橋梁などインフラ設備や送電線、風力タービン点検・検査に始まり、捜索救助活動、精密農業、ソーラーパネルの点検、消火活動の補助など、「人間が近づくことができない場所へ行ける」というドローンの特性を活かしたシーンで、大きな力になってくれることでしょう。
今後さまざまなカスタマイズを施した「Matrice200」シリーズが世界の空を座巻するのではないでしょうか。
POINT
- 高い耐久性と信頼性
- 下向きだけでなく上向きにも単一ジンバルを装着可能で上方撮影も可能
- デュアルバッテリーやフライトオートノミーシステム採用で安全性にも配慮
使用用途
- 橋梁などインフラ設備
- 送電線
- 風力タービン点検・検査
- 捜索救助活動
- 精密農業
- ソーラーパネルの点検
- 消火活動の補助
AGRAS MG-1
ドローンが活躍するシーンのひとつに農業があります。日本でも少子高齢化によって農業のなり手が少なく、さらに大区画化が進む一方でありますが、そんな農業分野にもDJIのドローンは進出を果たしています。
この「AGRAS MG-1」は、農薬散布に特化したドローンとして開発されたもので、大型のオクトコプターの下部に農薬を搭載したタンクを装備し、圃場の上空を飛行して散布する機体となっています。
タンクには10kgの液体を搭載することができ、新開発された噴霧システムと流量センサーによって高精度の噴霧を実現しています。
また、機体に3つのマイクロ波レーダーが搭載されており、これによって地形の変化を認識することができ、作物との距離を常に一定に保ちながら散布することで正確な農薬散布ができるようになっています。
これまで大型の無人ヘリで散布をおこなっていましたが、より短時間かつ低コストで散布できるドローンに注目が集まっており、この「AGRSA MG-1」が圃場の上を飛行するシーンも多くなってくることでしょう。
POINT
- 農薬散布に特化
- 10kgの液体を搭載可能
- 高精度の噴霧を実現
- 地形の変化を認識し、正確な農薬散布ができる
用途
- 農業
PHANTOM4 RTK
2018年10月に発売されたこの機体は、3D測量をおこなう際に必要なセンチメートルレベルの測位データを取得するために開発された機体です。
3D測量データを使った土木施工をおこなう際に事前に測量が必要となりますが、その測量を低高度からドローンを使って手軽におこなうことを可能にしたソリューションとして注目を集めています。
機体のベースは傑作機「PHANTOM4 PRO」を使用しており、そこにRTKモジュールを直接搭載しています。
さらに機体下部に搭載されたGNSSモジュールによって飛行の安定性も兼ね備えており、これら2つを組み合わせて電波が集まる都市部などでも安全に飛行しながら複雑なオペレーションを可能にしています。
カメラは1インチ20MP対応のCMOSセンサーを搭載しており、移動しながらでもスムーズかつ正確に撮影をおこなうことができます。
さらに専用の飛行計画アプリ「GS RTK」を使うことで、機体やフライトプランをスマートに制御することが可能。
RTKモジュール搭載の機体と組み合わせることで、簡単に正確な測量データを取得することができます。
土木施工の現場では「i-Construction」の流れに沿って早くもドローンによる測量がおこなわれており、そういった時代のニーズにマッチしたこの機体は、多くの現場で活躍を続けていくことでしょう。
POINT
- RTKモジュール搭載でセンチメートルレベルの測位データを取得
- 測量を低高度から手軽におこなうことが可能
- 安定した飛行
- カメラは1インチ20MP対応のCMOSセンサーを搭載し、移動しながらスムーズかつ正確な撮影が可能
- アプリを使って機体やフライトプランをスマートに制御できる
用途
- 土木施工
- 3D測量
Mavic2 Enterprise & Enterprise Dual
2018年8月に発売された「Mavic2」をベースに産業用として同年11月と12月にデビューしたのが「Mavic2 Enterprise」です。
「Mavic2 Enterprise」にはズームカメラが、「Mavic2 Enterprise Dual」には可視カメラと赤外線カメラを一体化したカメラユニットが搭載されているのが違いで、ともに産業用機材としての高い信頼性を確保しています。
「Mavic2 Enterprise」には光学2倍とデジタル3倍ズームを搭載したカメラが採用されており、中遠望から広角まで幅広い画角での撮影が可能です。
一方、「Mavic2 Enterprise Dual」はFLIR社製放射サーマルセンサーを内蔵しており、複数のディスプレイモードで可視画像と熱画像の両方を同時に見ることができます。
また、この「Mavic2 Enterprise」には拡張ポートが用意されており、アクセサリーを追加することで、さまざまな目的に合わせた機体に仕上げることができます。
アクセサリーは、現段階では「スポットライト」「スピーカー」「ビーコン」の3種類がラインナップされていますが、今後もドローンが活躍するシーンが増えるにつれ、いろいろなアクセサリーが追加されることでしょう。
「Mavic2」という高いポテンシャルを秘めた機体がベースになっているだけに、あらゆる領域で活躍できるのがこの機体の大きなアドバンテージではないでしょうか。
POINT
- Mavic2 Enterprise
・光学2倍とデジタル3倍ズームを搭載のズームカメラで中遠望から広角まで幅広い画角での撮影が可能
・アクセサリーを追加することで、さまざまな目的に合わせた機体に仕上げることが可能 - Mavic2 Enterprise Dual
・可視カメラと赤外線カメラを一体化したカメラユニットが搭載
・複数のディスプレイモードで可視画像と熱画像の両方を同時に見ることができる - 高性能な「Mavic2」がベースになってあらゆる領域で活躍できる
使用用途
- 幅広い領域で活躍できるのが大きなアドバンテージ
まとめ
このように多くの産業用プロダクトをリリースできるのは、ひとえにベースとなっている機体の完成度の高さによるものです。
今後もこういった産業用の機体を出していく流れは加速されていくものと予想され、それに応じてドローンが活躍する領域も増えていくことでしょう。
2019年もDJIの産業用ドローンから目が離せません。
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