発展が目覚ましい産業用ドローンの世界。
ドローンが今後のビジネスになると考えた多くの企業が、この領域に参入してきており、中には「こんな企業も!?」と思うような会社まで、ドローン事業に参入を果たしてきています。
今回はそんな異業種からドローン産業に進出を果たしてきた企業を紹介していきたいと思います。
CANON
日本が世界に誇るカメラメーカーであるキヤノン。
その中核であるキヤノンマーケティングジャパンは、早くからドローン産業に参入を果たしてきました。
国内の大手ドローンメーカーであるPRODRONEに出資し、ドローンの開発に携わるとともに、ドローンのフライト代行やドローンの人材育成サービス、ドローンのセットアップサービスなども展開してきました。
そんな中、キヤノンマーケティングジャパンから発表されたのが夜間でもまるで照明下のように飛行することができる防災用ドローン「PD8E2000-CJ1」です。
このドローンは、キヤノンが持つ超高感度カメラを搭載したドローンで、35mmフルサイズCMOSセンサーという圧倒的なスペックを誇るセンサーを搭載し、わずかな光源だけでも被写体をしっかりと確認することができます。
また、このカメラは超高感度ISO400万での撮影も可能で、暗闇の中でも被写体を探すことができることから、災害発生時の救助や状況の把握などに役立つことでしょう。
考察
このようにドローンの特徴である空撮に着目し、自らの持つカメラ技術をドローンと組み合わせることに成功したキヤノン。
彼らはドローンビジネスそのものを事業とするのではなく、ドローンというソリューションを商品ラインナップのひとつに加えたことで、よりクライアントの課題解決の幅を広げたことになります。
今後、世界に誇るカメラ技術をどのように活用してくるのか、非常に楽しみなところです。
NTTドコモ
携帯電話サービスを提供する日本最大手の移動体通信事業者であるNTTドコモ。
この企業もドローン事業を手がける1社です。
NTTドコモはドローン事業として、5GやLTEを活用したネットワーク、IoTやAI、画像解析を使った基盤技術、認証や決済といったプラットフォームの運用ノウハウ、そして無線基地局やドローン中継局などの自社活用といった4本の柱を軸に事業を展開しています。
この中で、プラットフォームについては、「docomo sky」と名付けられたサービスを展開しており、クラウドコネクト、運航支援、ビジネス支援、そして解析支援を、ドローンを使う企業に提供していっています。
一方、注目は5G回線です。
2020年に開始されるとされている新たな回線ネットワークを活用してドローンを飛行させる実証実験は、既に楽天と組んでおこなわれており、現在の電波を使った機体制御ではなく、携帯回線を使った新しいネットワークによる機体制御方法として注目を集めています。
考察
このように、機体と操縦者が常にやり取りをおこなっているドローンの世界は、通信事業者にとってみても次のヒットを生み出すかもしれないものであり、NTTドコモだけでなく、各社が競い合って参入してきており、目が離せない分野といえるでしょう。
楽天
インターネットショッピングやクレジットカード、そしてプロ野球で有名な楽天。
この楽天も早くからドローン事業を展開している企業です。
実際に、ACSL(自動制御システム研究所)に出資しているだけでなく、米国のAirMap社と合弁企業を作り、UTM(無人航空機管制)の領域にも進出するなど、活発な動きを見せています。
さらに、楽天は東京電力とゼンリンが展開している「ドローンハイウェイ構想」にもジョインし、実際に楽天ドローンの機体で、ドローンハイウェイを使った完全自律飛行にも成功しています。
さらに、最近では福島県の南相馬市で盛んに荷物配送の実証実験を繰り返し、着実に成果を出しているところです。
そんな楽天が狙っているのは配送の領域です。
インターネットショッピングを手がける楽天は、ユーザーの手元まで届ける最後の部分である「ラストワンマイル」について、ドローンを活用した展開を模索しており、上記のような取り組みもすべてはユーザーが注文した商品をいち早くコストをかけずに、山間部や離島でも容易に届けることができるようにするためです。
考察
ドローンを使った配送は、国も本腰を入れており、近い将来、ドローンが注文した商品を玄関先まで届けてくれる日が、本当にくるかもしれませんね。
全日本空輸(ANA)
日本が誇る2大フラッグキャリアのひとつ、ANAこと全日本空輸も、ドローンの可能性に着目している企業です。
ANAはなんと航空機の点検にドローンを活用しようとしており、そのユニークなアイデアが話題となりました。
現在は整備士がゴンドラを使って確認しているところを、ドローンを使うことで短時間で済ますことができ、より効率化につながるそうです。
確かに「人間が見えないところへ行ける」のがドローンの一番の利点でありますから、そういった意味では理にかなっているのではないでしょうか。
ただ、現在の航空法では飛行場内でドローンは飛ばせませんので、まずはそういったルールを整備するところからスタートする必要があるようです。
また、ANAはUTMの世界にも着目しており、JUTM(日本無人機運行管理コンソーシアム)にも参加しています。
考察
普段から航空管制システムの中で、飛行機を運用してきているANAだけに、実機で得たノウハウは、無人航空機の管制システムの開発においても非常に貴重なものとなるでしょう。
まとめ
このようにさまざまな企業が、これまで自社が培ってきた経験やノウハウを活用して、ビジネスとなる可能性がドローンにはあると判断し、産業用ドローンの世界に続々と参入を果たしてきています。
今後も国内だけでなく、国外からも多くの企業がドローン事業を展開し、多くのサービスが誕生してくることでしょう。
毎年のようにトレンドが変わっていくドローンの世界。
今後もますます目が離せないですね。
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