今回は、前編に引き続き、4月18~20日に開催された「第4回国際ドローン展」レポートの後編をお届けしていきたいと思います。
まだまだ出てくるドローンの最新活用事例。
技術革新による新しい働き方改革の先端をいく機体にぜひご注目ください!
Contents
ACSL&NSJ「Air Slider」
ACSLブースに展示されていたNSJ製のこの機体。
一見するとドローンに見えないのですが、なんと管路や閉鎖性空間の点検や調査をおこなうドローンなのです。
機体はFPVによる飛行が可能で、カメラも2K撮影に対応。狭い下水道の中を飛行し、目視調査ができるそうです。
資料によると日本における下水道の長さは約47万kmもあるそうで、このうちのほとんどは目視調査ができない口径800mm以下の小口のもの。
それに対してこの機体はサイズが250✕570✕120mmとコンパクトなものとなっており、重量も1.5kgと軽量。
独自の制御システムで閉鎖性空間であっても安定した飛行ができるとのことです。
迷路のような下水道の中を飛んでいく光景はまるで映画のよう。
人がいけないところに入っていけるというドローンの特性をうまく活用した好事例ではないでしょうか。
PowerVision「PowerEgg」
非常にユニークなこちらの機体。
丸まった楕円の状態からアームを広げて飛ばすことができる小型空撮用ドローンで、最長で23分の飛行ができるとのこと。
最大5kmのリアルタイム画像転送が可能で、下部に付いた4Kカメラと3軸ジンバルで360度全景撮影が可能です。
また、室外ではGPSデュアルモード測位、室内では超音波オプティカルフロー測位により安定した飛行ができ、自動追尾モードも備えるなど見た目のかわいさとは裏腹に、かなりの実力を持った本格的な空撮用ドローンとなっています。
ジェスチャーコントロールも可能とのことで、自分のペットのようにかわいがってしまいたくなりそうですね。
PowerVision「PowerRay」
こちらもPowerVision製の機体(船体?)で、水中用のドローンです。
本体に搭載されたフィッシュファインダーと呼ばれるソナー付きの魚影探知機を使うとアプリに魚影が映し出され、本体に取り付けられた釣り餌投下システムで魚をおびき寄せて4Kカメラで撮影することができます。
また、特別仕様のVRゴーグルと組み合わせると、これまで味わったことのないVR水中体験もできるよう。
世界的にも注目されている水中ドローンですが、かなり手軽に美しい海の中を撮影することができそうですね。
エンルート「QC730-TS」
ドローン開発の大手エンルートによるドローン測量専用機が展示されていました。
こちらは、トプコン社製TSトラッキングUASキットを標準装備しており、評定点なしでドローンによる空中写真測量に対応できる機体となっています。
注目はカメラ横に搭載されたカメラプリズムアダプター。
これによってドローンと地上のトータルステーションを結び、常に機体の位置を正確に把握して、高精度の撮影を可能としています。
また、機体にはトプコンが開発した高性能シャッターロガーシステムを搭載。
カメラによる画像データとGPSによる位置情報をベースに、専用解析ソフトで最適に処理がおこなえるとのこと。
まさにこれから本当の盛り上がりを見せるであろう「i-Construction」に向けた本格的な測量機として、大きな注目を集めていた機体でした。
AERONEXT「Next INDUSTRY・次世代産業用ドローン」
こちらも非常にユニークな造りをしているドローンで、見ての通りメインフレームが非常にシンプルな棒状のものでできています。
このメインフレームを用途に応じて変化させることで、あらゆるシーンに対応した機体を簡単に組み上げることができるとのことです。
主な業務用途としてはインフラ検査、点検、測量、農薬散布、調査、空撮、警備、海難救助などかなり幅広い領域を想定しているようで、非常に汎用性の高い機体に仕上げることができそうですね。
NEXCO中日本「構造物点検調査ヘリシステム SCIMUS」
中部地区を中心に高速道路を張り巡らせているNEXCO中日本が開発した、橋梁下面のような人が近づきにくい部分へ飛行していって点検・調査をおこなうドローン。
電源の供給は有線となっており、ドローンに搭載したカメラからの映像を確認しながら操作できるとのこと。
GPS環境下にない場所での飛行も得意な分野のひとつで、有線であるメリットを活かした長時間フライトを実現しており、高速道路や橋梁のような構造物の点検に際して、このドローンの活躍が今にも目に見えてくるようです。
まとめ
今回ご紹介させていただいた機体の特徴を以下でまとめております。
- ACSL&NSJ「Air Slider」
- 管路や閉鎖性空間の点検や調査用ドローン
- 閉鎖性空間であっても安定した飛行ができる
- PowerVision「PowerEgg」
- 小型空撮用ドローン
- 最大5kmのリアルタイム画像転送可能
- 360度全景撮影可能
- ジェスチャーコントロール可能
- PowerVision「PowerRay」
- 水中用のドローン
- 魚をおびき寄せて4Kカメラで撮影する
- 特別仕様のVRゴーグルと組み合わせてVR水中体験ができる
- エンルート「QC730-TS」
- ドローン測量専用機
- 常に機体の位置を正確に把握して、高精度の撮影が可能
- 画像データとGPSによる位置情報をベースに、専用解析ソフトで最適に処理がおこなえる
- AERONEXT「Next INDUSTRY・次世代産業用ドローン」
- あらゆるシーンに対応した機体を簡単に組み上げることができる
- インフラ検査、点検、測量、農薬散布、調査、空撮、警備、海難救助などかなり幅広い領域を想定している
- NEXCO中日本「構造物点検調査ヘリシステム SCIMUS」
- 人が近づきにくい部分へ飛行していって点検・調査が可能
- 有線であるメリットを活かした長時間フライトを実現
- 高速道路や橋梁のような構造物の点検での活躍が期待される
前回、今回で駆け足でお伝えしてしまった「国際ドローン展」の注目機たち、いかがでしたでしょうか?
今後、産業用ドローンはますますその領域に必要な能力を持った、特化したドローンが人気が出ることでしょう。
その流れにぜひ日本も乗っかっていきたいものですね。
◆「第4回国際ドローン展」詳細レポートの前編はこちら
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