次々と新しいドローンが登場し、猛烈な勢いを感じる世界のドローンマーケット。
そんな中、産業用ドローンの世界にも、世界の7割以上のシェアを握っているとされる中国のDJIが産業用プラットフォームをリリースして進出するなど、各国でドローン戦国時代を迎えつつあります。
一方で、日本においても、独自のテクノロジーとアイデアで勝負を賭けているドローンメーカーががんばっています。
今回は我が国が誇る、ドローンの機体メーカーを紹介していきたいと思います。
PRODRONE
名古屋に本拠地を構えるプロドローン。
代表の河野雅一氏はもともと映像や音響のメーカーを経営してきた人物ですが、同じ名古屋出身で、RCヘリの設計などに携わってきた、現在の副社長である菅木喜代一氏とともに、2015年に「プロドローン」を立ち上げ、ドローンマーケットに打って出ました。
プロドローンの特徴は、RCヘリ業界のエキスパートを集めた先鋭集団な点と、他のメーカーでは思いつかないような、ユニークなアイデアを盛り込んだ機体を多くリリースしている点です。
その代表作が取り付けるだけで、その物自体がドローンになる「PD-ANY」でしょう。
イスに4つのプロペラを取り付けると、すぐにイスはドローンに変身。
そのまま目的の場所まで飛ばせてしまいます。
こういったありそうでなかったアイデアが出てくるところがプロドローンの強みのひとつといえます。
また、プラットフォームを中心に、さまざまなバリエーションを持たせた豊富なラインナップも大きなアドバンテージでしょう。
最新の中型ダブルローター8枚機「PD-8X」は高機能さと可搬性を備えた機体となっており、8枚ローターによるパワフルな飛行を実現していながら、折り畳めるので持ち運びは非常に便利…といった、使うシーンに応じて、その装備を変えながら柔軟に対応できるプラットフォームを多く保持しており、さまざまな活用方法を提案できるのもプロドローンの強さの秘密ではないでしょうか。
ACSL(自立制御システム研究所)
このACSLは、日本における自立制御の第一人者とされる千葉大学の野波健蔵氏が立ち上げた企業で、千葉市の幕張を拠点として活動しています。
野波氏は1998年から研究室で完全自律型ドローンの開発をおこなっており、現在では空撮から計測、災害現場の調査から物流まで、さまざまなシーンに対応できる優れたドローンの開発をおこなっています。
ACSLの特徴は、どこよりも早く自律制御ドローンの開発に着手してきたことによる、多くのノウハウを活かした機体作りではないでしょうか。
独自の自立制御テクノロジーは、ACSLにしかない高い技術を駆使したものとなっており、先端技術や非線形制御等の高度な制御アルゴリズムを活用した自律制御システムを機体に搭載することで、外乱や機体特性による変化に対して強い機体に仕上げることができるそうです。
また、「SLAM」という非GPS環境での自律飛行制御も開発していますが、このあたりは長年の経験をフルに活かしたACSLならではのものではないでしょうか。
機体としては汎用性の高い産業用プラットフォーム「ACSL-PF1」をリリース。
これに用途に応じた装備を搭載することで、建物やインフラ点検、測量、防災、物流などあらゆる想定シーンに応じた最適な形へ仕上げることができるようになっています。
信頼できる安全性と使い勝手の良さを備えた、期待のプラットフォームとなっています。
エンルート
現在では産業用ドローンメーカーとしてすっかり認知されているエンルートですが、2006年の創業当時はRC製品の設計、製造、販売をおこなう会社でした。
しかし、創業者の伊豆智幸氏が、いち早くドローンの可能性に目をつけ、2011年には産業用ドローンシリーズの「Zion」をリリース。
以後、日本を代表するドローンメーカーとして、さまざまな機体を開発。
現在は伊豆氏からバトンを受け継いだ瀧川正晴氏のもと、多くの産業用ドローンを開発しています。
現在ではそのラインナップも非常に幅が広がっています。
普通の空撮用だけでなく、撮影・観測用ドローンや建設・保守点検用ドローン、自動航行が可能な測量用ドローン、農業用ドローンなど、ドローンの活躍が想定されるあらゆるシーンに機体ラインナップを拡充させています。
エンルートの強みは、ソフトウエア開発から企画・開発・設計・製造・販売・整備・保守・保険、そしてドローン講習まで、生販一体(一気通貫)の仕組みが構築されている点でしょう。
特にソフトウエアでは、「Ardupilot」のコミュニティに参加しており、そこから来る世界中の最新のトレンドや知識を、次の機体開発に役立てています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本にも、その将来が非常に楽しみなドローンメーカーが頑張っていることをご理解いただけたと思います。
DJI一強とされているコンシューマー向けドローンの世界と異なり、産業用ドローンの世界はまだまだ不確定なこと多いことで、逆にどのメーカーにもチャンスが落ちていることになります
この3社のみならず、国産ドローンメーカーの世界での活躍を期待せずにはいられません。
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