ドローン業界において、測量領域の話が普通に聞かれるようになった昨今、次々と新しいテクノロジーが開発され、次々とドローンに活用され、測量の精度や効率性の向上に貢献していきました。
そんな中、2019年くらいから注目を集めているのがレーザースキャナをドローンに搭載しておこなう測量です。それには果たしてどんなメリットがあるのか。今回はそのあたりを掘り下げていきたいと思います。
ドローンを活用したレーザー測量
そもそもレーザースキャナを搭載したドローン測量とはどういったものでしょうか?これは、ドローンにレーザー発振器を搭載し、上空からレーザーを照射してそのレーザーが跳ね返ってきた距離等をデータ収集し、さらにGLONASSの位置情報と照らし合わせることでどこの地形がどのような状態になっているのか測量するものです。
このレーザー測量の最大のメリットは、上空から測量する際に邪魔になる樹木の隙間を縫って地表にレーザーを照射して情報を得ることができる点にあります。これにより、地上に生えている植物などの表面反射データ(DSM)や、地表そのものの表面データ(DEM)を収集することができます。
ドローンが産業用で活用される最大のメリットは「人が容易に近づけない場所でも簡単に飛んでいって、データの収集や作業、撮影などができる」という点にあります。測量でも同様ですが、通常は上空から撮影しても樹木があるため、地表の凹凸や状態を測量することはできません。そういったところはこれまで人の手でおこなってきたり、航空測量をおこなう企業に依頼して、セスナのような軽飛行機を飛ばして高い高度からレーザーを照射しておこなっていました。
しかし、人が容易に近づけないような危険地帯や、行けてもリスクが高い場所こそドローンが本領発揮をするところ。また、軽飛行機では狭い山間部などで高度を落とすことができませんが、ドローンならば極めて低い高度でも飛行ができます。そこでレーザースキャナを搭載できるドローンが注目を集めているわけです。
レーザースキャナ搭載ドローンの特徴
まず、何と言っても必要なのが、重量のあるレーザー発振器を搭載できるだけのペイロードのある機体が必要となります。ペイロードに関しては、重いものを持ち上げようと思えば思うほどパワーが必要になりますので、バッテリーやモーター、プロペラが大型化します。また、飛行重量が重くなればなるほど燃費が悪くなり飛行時間は短くなります。
さらに、当然レーザー発振器を搭載するだけのスペースも必要で、主に機体の下部に吊り下げる形で搭載されることが多いです。
こういった要件を満たしたドローンが必要であり、これまでの機体を流用するパターンもありますが、新たにレーザー測量に特化した機体を開発してくる企業もあります。新規で機体を開発するのは大きなリスクであり、コストもかかりますが、それだけこの分野が大きな可能性を秘めていることの裏返しでもあります。
また、飛行しながら測量をおこなうわけですので、機体には高い安定性と信頼性が求められます。外乱に強く、高い自律安定性に基づいたホバリングができる機体でなければなりません。このあたりは機体メーカーとレーザースキャナメーカーが知恵を絞り合って、さまざまな新しいテクノロジーを付け加えていきながら開発を続けているところです。
まとめ
このように、ドローンを活用したレーザー測量は、国内だけでなく海外でも高い評価を得ており、測量業界において非常に期待されている分野になります。これからの測量業界を考えた時に、ICT化は避けて通れないもので、ドローンのようなソリューションをうまく活用することで、効率的で精密度も高く、しかも安全におこなえるようになることでしょう。今後、ドローン業界においてレーザー測量のニュースから目が離せません。
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