ドローンがさまざまなシーンで活用されるようになって久しい昨今ですが、思い返してみると「ドローン元年」と言われたのが2014年あたりでしたので、それから既に5年が経過していることになります。
その間にドローンは大きな進化を遂げ、空撮だけだった活用シーンも、測量やインフラ点検、災害救助、農薬散布や精密農業といった分野まで進出するようになり、それに特化した機体やアプリケーションの開発が盛んに行われています。
そんな中、長年の課題であったドローンを使った物流について、いよいよ2019年が「元年」になりそうな気配がしています。
そこで今回は物流領域でのドローン活用について紹介していきたいと思います。
Contents
近距離での物流・配送
ここではまず物を運ぶ距離で話を分けていこうと思います。
まずは近距離での物の配送について見ていきましょう。
山間部も楽に配送
いわゆる「配送」という言葉でイメージされる、ユーザーに物を届ける最後の部分になります。
まず、注目しなくてはいけないのが、ドローンは人間が近寄れないところへ簡単に飛んでいける、という特徴を持っていることです。
特に山間部が多く、人間が近づくにはリスクの大きい場所が多い日本において、この特徴は非常に大きなアドバンテージと言えます。
地方配送や災害発生時にも役立つ
そして、もうひとつが現在の日本の状況にドローンが活躍できる部分があるという点です。
少子高齢化により、地方は過疎化が進んでいます。
特に地方の山間部は限界集落が広がり、公共交通機関もバス運転手不足により便数は少なく、デマンドタクシーも使い勝手が良いとは限りません。
年配の方々が自家用車を手放せない状況になっている中で、高齢者ドライバーによるさまざまな事故が起きていることはみなさんもご承知の通りでしょう。
そんな中、物流のラストワンマイルを担う役割が期待されているのがドローンです。
物がその人の手元まで届く最後の距離を埋めるためには、自由に飛行でき、アクセスするための道路状況なども関係ないドローンは最適なソリューションのひとつと見られています。
もちろん、日頃の配送だけでなく、災害発生時に救援物資の輸送という点でもドローンによる物資の配送は今後の日本においてなくてはならないものとなります。
長距離での物流・配送
一方、長距離の物資の輸送についてはどうでしょうか。
現在の日本では長距離の輸送は飛行機、鉄道、トラックが主に担っています。
この役割をドローンが担おうとした時、さまざまな課題の解決が求められます。
ハイブリッドエンジン搭載ドローン
まずはドローンの航続距離についてです。
現在のドローンはリポバッテリー※をメインの燃料源としています。
現在さまざまなリポバッテリーや他のバッテリーによる航続距離の延長を図るための実験がおこなわれていますが、それでも他の方法による輸送には遠く及びません。
この課題を解決すべく動いているのがハイブリッドエンジンを搭載したドローンです。
燃費の良いガソリンエンジンを搭載し、そのエンジンで発電した電力でモーターを回すという仕組みは、航続距離の長さ、燃費の良さでアドバンテージがあり、長距離フライト用として期待されています。
ドローン版航空管制の整備
長距離フライトとなると、従来の方法のように、道路や鉄路、航路があるわけではありませんので、どこをどう飛ばせばいいのか?という疑問が思い浮かんできます。
ドローンの世界には実機のような航空管制がないためです。
しかし、この課題も現在世界レベルでの解決が図られており、米国のNASAを中心としたUTM(Unmanned Aerial System Traffic Management)の開発と整備が進んでいます。
日本においてもJUTMという団体にさまざまな企業が集結し、ドローン版の航空管制を整備し、長距離の輸送といったシーンでドローンが活躍できるように整備が続けられています。
ドローン物流の将来は?
このようにドローンを活用した物流はまさに始まったばかりで、そういった意味では2019年が「元年」と言っても差し支えないほどさまざまな実証実験や開発が進んでいる状況です。
将来的には「短距離の配送」と「長距離の輸送」に分かれて、それぞれに特化した機体やサービスが登場してくることでしょう。
それでも、現在の日本の働き手不足や地理的制約を考えるとドローンによる物資の配送は今後の日本の物流インフラを支える必須のものであり、現在抱える課題を解決し、早期に物流インフラのひとつとして確立される必要があるでしょう。
2019年はドローン物流に関してさらにさまざまな発表があることを期待したいですね。
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