2018年8月にDJIから発表された新型の小型ドローン「Mavic 2」。
折りたたみが可能な小型のドローンながら、これまでにないハイスペックな性能と徹底的に追求された安全性で、プロの現場や産業用としても使用することができる新しいプラットフォームとして大きな期待が寄せられています。
そんな「Mavic 2」は民生用としては2機種がラインナップされています。
ひとつは「Mavic 2 Pro」、そしてもうひとつは「Mavic 2 Zoom」です。
今回はこの2つの機種を比較して、どちらを選ぶのが賢いか見ていきたいと思います。
Contents
「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」に共通するポイント
「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」は機体そのものは同じです。
DJI初の全方位障害物検知システムや最大31分のロングフライトが可能な新しいリポバッテリー、さらには静音性に優れたモーターと効率性、低ノイズを重視したESCは、双方とも共通の仕様となっており、異なる点はありません。
機体そのものの特徴といえば、やはりDJIで初めて搭載された全方位障害物検知システムでしょう。
これまでもPhantom4 Proなどで前後左右と下方のセンサーは付いていましたが、今回の「Mavic 2」では、さらに上方にもセンサーが搭載され、6方向すべての障害物を認識して自動で回避してくれるようになりました。
上方のセンサーは、特に橋桁の下に入るインフラ検査や、小型機の特徴を活かしたインドアフライト時に活躍が期待されます。
また、4種類の撮影方法から選択できるハイパーラプスや拡張HDR写真、OcuSync2.0動画伝送システムによるデジタル動画の高い伝送性能などは、双方の機種に搭載されています。
さらに、アクティブトラック2.0やクイックショット、パノラマ撮影といったインテリジェント撮影モードは、そのシーンごとに使い分けることで、より簡単に理想とする動画を撮影することができるはずです。
「Mavic 2 Pro」のカメラについて
では、この「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」はどこが異なるのかというと、カメラです。
DJIオリジナルの3軸ジンバルに搭載されているカメラが「Pro」と「Zoom」では異なっています。
「Pro」に搭載されているカメラ「L1D-20c」は、DJIが2017年に買収した老舗カメラメーカーであるハッセルブラッドが開発した小型高性能カメラで、HNCS(ハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション)技術を搭載しており、ひとつひとつの色彩を丁寧にしっかりと再現することができます。
このカメラには有効検知範囲が前作の4倍となる1インチCMOSセンサーが搭載されています。
センサーが大型化されたことで、低照度の現場でもその性能をフルに発揮することができ、3200~12800という広いISO感度の設定を可能としています。
また、もうひとつの特徴として10-bit Dlog-Mカラープロファイルに対応していることが挙げられます。
広くなったダイナミックレンジによって、グレーディングルームで柔軟な作業を実現するとしています。
さらに、絞りを調整できるのもこのカメラのポイントでしょう。
F2.8~F11の範囲で調整でき、さまざまな光量環境下でも高画質の撮影をすることができます。
これにより、あらゆるシーンにおいて美しい空撮をおこなうことができるようになっています。
● Mavic 2 Pro の特徴
- HNCS技術搭載で色彩をしっかりと表現可能
- 1インチCMOSセンサー搭載で低照度の現場でも活躍。3200~12800という広いISO感度の設定が可能
- 10-bit Dlog-Mカラープロファイル対応、広いダイナミックレンジでグレーディングルームでの柔軟な作業を実現
- 絞りF2.8~F11でさまざまな光量環境下でも高画質の撮影が可能
「Mavic 2 Zoom」のカメラについて
一方、「Mavic 2 Zoom」のカメラは、その名の通り「ズーム」機能をもったものとなっています。
このカメラには光学2倍ズームレンズ(24mm~48mm)が搭載されており、デジタルズームと組み合わせて最大で4倍までズームができます。
搭載されているCMOSセンサーは1/2.3インチ12MPのもの。広角から中遠望まで幅広いレンジを撮影することができるので、非常に汎用性の高いカメラとなっています。
ズーム機能が搭載されていることで、機体を被写体に近づけなくても撮影することができるのがこの機体の特徴でしょう。
例えば、ドローンの音に怖がって逃げてしまう動物や、ドローンを近づけるには危険な場所が被写体の場合、このズーム機能を活用することで遠望での撮影ができます。
フルHD動画撮影でロスレス4倍ズームができますので、被写体に接近せず、これまでのドローン空撮にないオリジナルの構図で撮影することができるのも大きなメリットでしょう。
気になるズーム時のフォーカスですが、位相差検出とコントラスト検出を組み合わせ、非常に素早いフォーカス速度を実現しており、従来のモデルより最大で40%早くなっています。
また、「Zoom」に搭載されているオリジナルの機能として空撮でのドリーズームが挙げられます。
これは機体を後進させながらズームインすることで、背景がセンターを中心に歪んでいくような不思議なシーンを撮影することができるもの。
これまでにない新しい視覚表現ができることでしょう。
● Mavic 2 Zoom の特徴
- フルHD動画撮影でロスレス4倍ズーム可能で、被写体に接近せず、オリジナルの構図で撮影可能
- CMOSセンサーは1/2.3インチ12MPで広角から中遠望まで幅広いレンジを撮影可能
- ドリーズームで、機体を後進させながらズームインし、背景がセンターを中心に歪んでいくような不思議な撮影が可能
どちらの機体を選択すべきか?
では、「Mavic 2 Pro」と「Mavic 2 Zoom」のどちらを選択すべきなのでしょうか。
結論から言ってしまうと、「自分の撮影スタイルに合ったほうを選ぶのが良い」という回答になってしまいます。
もし、多少画質が落ちても(素人にはほとんどわからないと思いますが)良いのではあれば、ズーム機能を持った「Mavic 2 Zoom」を、プロの現場でしっかりと色を表現できる機能が欲しいのではれば「Mavic 2 Pro」という選択が一番しっくり来るのではないでしょうか。
また、被写体が動物だったり、中遠望での撮影が多い場合は「Mavic 2 Zoom」のズーム機能は重宝するはずです。
どちらがいい、悪いではなく、自分の用途や撮影スタイル、フライトスタイルやスキルに応じて、両機の特徴をよく把握して、選ぶことが大切なのではないでしょうか。
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