月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。
第13回は「国産ドローン企業発のユニークな機体」について紹介していきたいと思います。
Contents
国産ドローン企業発のユニークな機体
現在、日本で飛んでいるドローンの多くは中国DJI社製のものとなっており、ワンパッケージの空撮ドローンがそのほとんどを占めています。
しかし、日本のドローンメーカーも黙ってはいません。
最新のテクノロジーとユニークなアイデアを組み合わせ、世界に負けないさまざまなドローンを開発しています。
もともと、日本はラジコンの世界ではトップクラスの開発能力を持ったメーカーと、卓越したスキルを持ったフライヤーがおり、世界をリードする立場でした。
ラジコン飛行機やラジコンヘリで世界チャンピオンを輩出するなど、世界から注目を集める立場でしたが、ドローンでは一転して海外勢の勢いに押され、グローバルな視点で見ると出遅れている感は否めません。
しかし、日本が得意とする、優れた技術に高い付加価値を付けて世に送り出すことが、昨年以降ようやく花開いてきた感があり、世界でも類を見ないユニークかつ独創的なアイデアを具現化した機体が登場するようになってきました。
そこで今回は、日本発のユニークな国産ドローンを紹介していきたいと思います。
もしかしたら、この中に次のトレンドの中心となる機体が控えているかもしれません。
PRODRONE「SUKUU」
2019年3月に開催されたドローン専門の展示会「JapanDrone2019」で、一番大きな注目を集めたのではないか、とも言われたほどインパクトあった機体が、プロドローン製の対話型救助用パッセンジャードローン「SUKUU」です。
この機体は、自然災害などが発生した際に孤立してしまい救助が必要な要救助者を機体の下のスペースに乗せて安全な場所まで避難させるというものです。
要救助者を乗せるスペースにはタブレットが用意されており、オペレーターとコミュニケーションを取りながら救助を進めることができるようになっています。
飛行はオートパイロットではなく、トレーニングを受けた専任のオペレーターがFPVフライトで進めるようになっており、現場現場に応じた細かな対応が可能となっているだけでなく、搭載したスピーカーと専用カメラ、専用マイクなどで要救助者を安心させながら救助活動を進めていくことができるようになっているのが特徴です。
発表されているスペックとしては、飛行時間は15分で搭乗人員は1名で最大100kgまで。
機体は折りたたむことができるフォルダブル構造となっており、持ち運びは非常に容易なものとなっています。
人を乗せて安全な場所まで運ぶという、救助における最終手段ともいえる方法を具現化したこの機体は、まさに尊い人の命を「SUKUU」ことができる可能性を秘めており、今後の開発の進捗に期待がかかります。
・SUKUUの特徴
- トレーニングを受けた専任のオペレーターがFPVフライトで飛行!
- 搭載されたカメラやマイクで、要救助者を安心させながらの救助活動が可能!
- 飛行時間は15分で搭乗人員は1名で最大100kg。
- 機体は折りたたむことができて、持ち運びは非常に簡単。
公式サイト https://www.prodrone.com/notice-en/5712/
香川高等専門学校「水難救助ドローン」
さまざまなドローンの開発をおこなっていることで有名な香川高専。
この香川高専が開発している水難救助ドローンがシンプルかつユニークなアイデアで、注目を集めています。
この水難救助ドローンは、水難事故が発生した際に要救助者のところまで飛んでいき、機体の四方に備え付けられた超軽量のペットボトル浮具を水面に向けて発射し、要救助者の周囲を浮具で囲んで救助をおこなうもの。
浮具はペットボトルをベースに作られており、シンプルながらわかりやすく、しかも軽量なのでペイロードにも影響しないという特徴があります。
発射された4本のペットボトルの間には網が仕掛けられているので、要救助者に向けて発射される様子はまるで投網のよう。
香川高専では、現在実用化に向けて研究・開発中とのこと。
周囲を海で囲まれ、河川も多い日本では毎年多くの人が水難事故で命を落としており、こういったアイデアが実用化されることを願うばかりです。
・水難救助ドローンの特徴
- 機体の四方に備え付けられたペットボトル浮具を水面に向けて発射!
- 浮具はシンプルでわかりやすい、ペットボトルをベースに作製。
- 軽量なのでペイロードにも影響しない。
エンルート「QC730FP」
国産のドローン企業としてはドローン黎明期から活動を続けているエンルート。
これまでも多くの機体を開発してきた同社ですが、この春に発表された「QC730FP」は新しい可能性を示してくれるものとなっています。
この機体は、300度の耐火性能を備えた消防用ドローンとなっており、300度という高温下でも1分間の耐えることができるようになっています。
機体はマグネシウム金属ボディでプロペラ部分にはチタンを採用、さらに2000度の耐熱性を持つジルコニア塗装を施すことで耐熱性を向上させています。
また、機種部分のカメラ部を石英素材で覆い、300度の中でも1分間の連続撮影に耐えられる造りとなっています。
主な活用のシーンとして想定されているのは、狭い道路や住宅密集地などで、消防のはしご車が侵入できない火事の現場や、人が近づけない山間部へすぐに飛んで接近する必要がある山火事といったシーンにおいて現場の状況を撮影し、火元の特定、消防車の侵入ルートや要救助者の捜索といった使い方が考えられます。
また、機体自体は火事の熱風に耐えられるよう、10m/sの耐風性能を持っており、高温下での自律航行機能によって安定感のある飛行が可能とのことです。
火事は、発生した直後の初動が非常に大切で、それによって被害の大小が大きく変化すると言われております。
このドローンの登場によって、火事の現場における救助の方法が大きく変わっていく可能性があるのではないでしょうか。
・QC730FPの特徴
- 300度という高温下でも1分間耐久可能!
- 2000度の耐熱性を持つジルコニア塗装を施すことで耐熱性を向上。
- 機種部分のカメラ部を石英素材で覆い、300度の中でも1分間の連続撮影に耐えられる。
- 自律航行機能によって安定感のある飛行が可能で、10m/sの耐風性能あり。
公式サイト https://enroute.co.jp/news/qc730ts_news/
まとめ
日本の企業や団体が開発するユニークで独創的なドローンの紹介いかがでしたでしょうか。
テクノロジーの進化とともに、さまざまなシーンでドローンが活躍するようになればなるほど、これまでの枠を飛び越えて、まったく新しい観点から開発されたドローンが今後も日本から続々と登場することでしょう。
そういった国産のドローンが海外へ輸出され、その国の課題解決に貢献できるとなれば、ドローンマーケットにおける日本の存在感もさらに大きくなっていくことでしょう。
COMP-REXでは今後も素晴らしい可能性を秘めたドローンを紹介してきたいと思いますので、ぜひご期待ください。
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