農業領域におけるドローンの活用|産業用ドローン最新トレンドウォッチャーVol.17

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農業領域におけるドローンの活用|産業用ドローン最新トレンドウォッチャーVol.17

月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。

第17回のテーマは「農業領域におけるドローンの活用」です。
空撮や点検、測量、物資の輸送と並んで注目されている農業。この分野において、今後どのようにドローンが活躍していくのかを見ていきたいと思います。

農業とドローンの関係性

農業とドローンの関係性

無人のRCヘリコプター

農業におけるドローンの活用は早くから注目されているところでした。
特に日本では、現在隆盛を誇るマルチコプター型のドローンが登場したころから、これを「農業に使えないか?」という意見が現場で挙がっていたほどです。
というのも、日本において農薬散布に無人のRCヘリコプターを活用してきた歴史があるからです。

古くからヤマハやヤンマーといったメーカーが農薬散布に特化した大型のRCヘリコプターを開発し、農薬散布を手掛けてきました。
両者はこれらの機体を操ることができる操縦士をネットワーク化し、春から夏にかけて、日本全国の圃場でRCヘリコプターを飛ばし、農薬散布をおこなってきました。

効率的で正確な場所に散布できるメリット

人の手や有人のヘリコプターでの散布するよりも広い範囲圧倒的に効率よく散布することができます。
また、有人の飛行機やヘリコプターよりも低い高度で飛行できるので、必要な場所にピンポイントで散布することができるようになりました。

農薬ですので、必要以外のところに散布するわけにはいかないのですが、有人の飛行機やヘリコプターは超低空まで高度を降ろすことができません。
しかし、無人のRCヘリですと、作物の上空数メートルの位置をホバリングすることができますので、指定された場所に散布できる可能性が高まります。

このように日本では早くから無人のRCヘリコプターで農薬散布が盛んにおこなわれてきました。

無人のRCヘリコプター=無人航空機ですので、これもドローンの一種だと考えると、一番早くドローンを活用してきたのは実は農業領域だったのかもしれません。

マルチコプター型ドローンの登場

マルチコプター型ドローンの登場

進化する農業ドローン

一方2014年頃から、一般のユーザーでも簡単に扱える、いわゆるマルチコプタータイプのドローンが登場するようになりました。

これらのドローンは、最初は小さなアクションカメラくらいしか搭載できなかったものが、モーターやリポバッテリーの進化に伴い、変化していきました。
どんどんペイロードが大きくなり、重いものも搭載できるようになりました。
しかも、フライトコントローラーの改良やGPSシステムの搭載され、非常に精度が高く安定した飛行をすることができるようになりました。

最初は空撮やホビー用途でしか使われていなかったドローンがさまざまな分野でその活用が模索されるようになったのはご存知の通りでしょう。

農薬タンクを搭載し本格化

そんな中、機体下部に農薬タンクを搭載し、上空から散布するドローンが登場するようになってきました。
最初は5L程度だった搭載量も、10L、20Lとだんだんと大きくなり、いよいよ実用化されるようになってきたのです。
特に海外ではこの動きが早く、大規模な圃場を持つ国々では超大型の機体を開発して、一気に散布するようなパワフルなマシーンまで登場するようになりました。

そんな中、日本でも農林水産省農林水産航空協会が中心となってドローンを使った農薬散布のガイドラインが制定され、それに応じて農水協に認定を受けた機体を使った農薬散布が本格的に開始されるようになりました。

ドローンを使った農薬散布のメリット

農薬散布用のタンクのついたドローン

自在な高度調整

マルチコプター型のドローンを使った農薬散布にはいくつかのメリットがあります。

まず、大型のRCヘリコプターよりもさらに低い高度で散布をすることができます。
また、電動機なのでエンジン機であるRCヘリコプターよりも静かなので、周囲に騒音を撒き散らすことなく早朝から飛行させることも可能です。

フライトコントローラーの進化とGPS機能によって、RCヘリコプターと比較して非常に安定した飛行ができるのも大きなメリットでしょう。
GPS機能を使うことで、航行ルートを指定して自動飛行させるような技術もあり、今後その活用もなされていくことでしょう。

自律飛行

フライトコントローラーの進化とGPS機能によって、RCヘリコプターと比較して非常に安定した飛行ができるのも大きなメリットです。
GPS機能を使うことで、航行ルートを指定して自動飛行させるような技術もあり、今後その活用もなされていくことでしょう。

ドローンは自律することができますので、作業中にプロポから手を離してもその場でホバリングしてくれています。
しかし、無人ヘリコプターの場合はそうはいきません。常に当て舵を打ちながら期待を安定させなくてはならないため、高度な操縦スキルが求められます。

一方、ドローンは自律飛行を前提に作られていますので、少しの訓練で飛ばすことができるようになります。
(もちろん、1人で勝手に飛行させたり、農薬を散布したりしてはいけません)

さらに、機体によってはこれまでになかった新しいテクノロジーが搭載されている点も見逃せません。
例えば、ドローンのトップシェアを誇るDJI社が開発した「AGRAS MG-1」には機体の前後にミリ波センサーが搭載されています。
これにより、圃場の地表の凹凸を機体が感知することができ、常に作物との距離を一定に保ちながら、同じ高さから農薬を散布することが可能です。

このように、ドローンならではの新しいテクノロジーを駆使した農薬散布が期待できます。

メリットまとめ

  • 大型のRCヘリコプターよりもさらに低い高度で散布可能
  • 安定した高度で散布できるので、ピンポイントで散布可できる
  • 飛行音が静かで早朝から飛行できる
  • 地表の凹凸を機体が感知することができ同じ高さから農薬を散布できる

ドローンを使った農薬散布のデメリット

AC-1500

燃費問題

一方でドローンでの農薬散布にはデメリットもあります。

バッテリーの持ち時間が大型のRCヘリコプターと比較すると短いということです。つまり燃費が悪いのです。

現在はリポバッテリーの進化によって長く飛行できるようになってきましたが、それでも10〜20分がいいところです。
例えば、エンルート社の農薬散布ドローン「AC-1500」でも最大量積載時(9.0kg)で約16分となっています。
これで散布量としては8L/haですので、初期のドローンと比較すると雲泥の差なのですが、一方でエンジン機であるヤマハ「Fazer」は、24Lの散布を2回連続でおこなえる燃費の良さを誇ります。

この点については、まだまだエンジンヘリの方が上だと言えますが、狭い圃場では逆に長い飛行時間は必要ありませんし、狭い場所では小さなドローンの方が有利に働くときもありますので、条件によっては一長一短だとも言えます。

デメリットまとめ

  • バッテリーの持ち時間によって燃費が悪い
  • 最大量積載時10〜20分の短時間飛行

しかし、狭い場所では小さなドローンの方が有利に働きます。
適材適所でドローンを仕様されるといいでしょう。

農薬散布以外の活用について

ペイロードのドローン

カメラ分析で精密農業

一方で、農業領域におけるドローンの活用は、農薬散布以外でも注目を集めています。

前述した通り、最近のドローンはペイロードが非常に大きくなっているのでさまざまな装備を積むことができます。
この性能を活用して、マルチスペクトルカメラを機体に搭載し、高い空間分解能により作物の生育状況を葉の1枚1枚から確認して必要に応じて追肥などをしていく、いわゆる精密農業の領域でも注目を集めています。

これまで、農家の方々の経験と知恵でおこなってきた作物の成長具合の確認追肥を、今度はドローンが撮影してきた画像からデータを取得し数値をベースにした農業を展開することで、より高品質な作物を大量に作ることができる時代となってきたのです。

これらは、今後農業におけるなり手の不足と大区画化が予想される中、ICT技術を使った新しい農業のあり方として大きな注目を集めています。

まとめ

進化した農業ドローン
今回はドローンと農業の関わり方について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

新しいテクノロジーを用いることで、より生産性の高い農業を展開できるようになってきたことがおわかり頂けたのではないでしょうか。

農業におけるドローンの活用はまさに今始まったばかりです。今後、どのようなソリューションやサービスが登場するか、今から楽しみですね。

 

 

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