非GPS環境での飛行制御システム|産業用ドローン最新トレンドウォッチャーVol.2

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月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。
第二回目は「非GPS環境での飛行制御システム」についてご紹介していきたいと思います。

非GPS環境での飛行制御システム

多くのドローンは、機体にGPSシステムを搭載しており、GPSから拾った位置情報を元に安定した飛行や自動航行を実現しています。
ところが、ドローンが飛行する場所は案外GPSが届かなかったり、受信できても電波が弱くて不安定だったりするところが多くあります。

例えば、機体頭上に橋桁があるような場所であったり、ビルや山に周囲を囲まれていて斜めからGPSの電波をキャッチできなかったり、そして屋根のある屋内などが代表例となります。
こういった場所でドローンを飛行させようとすると、どうしてもドローンオペレーターがマニュアルで飛ばすこととなり、正確な飛行や撮影に支障をきたしたり、普段よりもリスクが何倍も高くなってしまうことでしょう。

そういった問題を受けて2016年くらいから、非GPS環境下における安定飛行を実現すべく、さまざまなアイデアが搭載されたドローンや飛行制御システムが登場しました。

それでは早速紹介していきたいと思います。

大成とブルーイノベーション、そしてNTT東日本が開発した屋内監視ドローン「T-FREND」。GPSの効かない屋内をあらかじめ設置した電波発信機からの電波を受けて自分の位置を推定しながら飛行する

CASE1:大成・NTT東日本・ブルーイノベーション「T-FREND」

こちらのケースは、屋内での使用を想定したケースで、夜間等の定時にオフィス内を巡回し、フロア内の就業状況を撮影監視するサービスに使われている機体です。
この「T-FREND」に使用されている機体はブルーイノベーション製のもので、あらかじめドローンの巡回時間やルートを設定しておくだけで、自動で飛行していって在籍にしている社員に対して退社を促すというもの。

最初から屋内での使用を前提とした機体となっており、ブルーイノベーション製のインドアフライトシステムを搭載し、屋内でも非常に安定した飛びが可能です。
この「T-FREND」のインドアフライトシステムの面白いところは、GPSの代わりに特殊な電波発信機を使うことで機体が自己位置を推定して飛行するところ。
電波発信機を使うので、社員が退社後の消灯されたオフィスでも安定したフライトができるところもポイントのひとつ。
もちろん、デスクの上や人のいる場所は飛行経路から外すなどの対応も可能とのこと。
屋内でドローンを飛ばす際の新しい制御方法として注目を集めているようです。

ACSLではGPSの入りづらい場所での自律飛行用に、「SLAM」というシステムを開発。機体のカメラから得た画像を解析して、自己位置を推定しながら飛行する

ポイント

  • オフィス内を巡回し、フロア内の就業状況を撮影監視する
  • 自動飛行で在籍にしている社員に対して退社を促す
  • 屋内でも非常に安定した飛行が可能
  • 特殊な電波発信機を使用し機体が自己位置を推定して飛行する
  • 消灯されたオフィスでも安定したフライトが可能

CASE2:ACSL(自律制御システム研究所)「SLAM」

ACSLは画像処理を用いた開発する「SLAM」(Simultaneous Localization And Mapping)と呼ばれる自律飛行システムを開発し、GPSやGNSSのデータ精度が低い場所でもドローンのフライトを可能としています。
この「SLAM」は、カメラの画角内にある特徴を抽出し、独自のアルゴリズムで処理することで自己位置推定をおこなうというもの。
これによりGPSの精度が悪い場所でも、あらかじめ決められたルートに従って飛行することができるとのこと。
このシステムを使うことで、橋梁下の点検や屋内での飛行なども、安全かつ確実におこなうことができるといいます。

画像認識による自己位置推定は昨今のトレンドとなっており、このテクノロジーを応用してドローンの活躍の場が、さらに多くなることは間違いないのではないでしょうか。

DJIでは「PHANTOM3」以降の機体に、GPSの入らない屋内あどでも安定した飛行ができるように「ビジョンポジショニングシステム」を搭載している

ポイント

  • カメラの画角内にある特徴を抽出し、自己位置推定をおこなう
  • GPSの精度が悪い場所でも、決められたルートで飛行可能
  • 橋梁下の点検や屋内での飛行も、安全かつ確実に実行可能
  • 画像認識による自己位置推定は昨今のトレンド

CASE3:DJI「ビジョンポジショニングシステム」

ご存知DJIの「ビジョンポジショニングシステム」は非GPS環境下でも安定した飛びができるように開発されたシステムで、屋内での飛行時に下向きのカメラと超音波センサーによって機体の水平を保つことで安定した飛びを実現したものです。
さらに前方に向けたカメラからの画像を処理して安定を保つものもあり、こういった機能を本格的なドローンにしては安価な機体に搭載しているところがDJIの凄いところ。

プロレベルの機体である「INSPIRE2」から手のひらサイズの「Tello」まで、非GPS環境下でも非常に安定した飛びを実現しているのは凄いの一言。

最近は前後左右下向きの障害物を回避する「フライトオートノミー」が注目されるが、その原点となっているのは、室内やGPS精度の悪いところでも飛ばせるように開発された「ビジョンポジショニングシステム」であることは忘れてはならないのではないでしょうか。

DJI「Mavic Air」の底面。超音波センサーと下向きのカメラが搭載されており、これと前方のカメラで得た画像を元に非GPS環境下でも安定した飛行を実現するとともに、障害物の回避なども可能としている

ポイント

  • 非GPS環境下でも安定した飛びができるように開発されたシステム
  • 機体の水平を保つことで安定した飛行を実現
  • 本格的なドローンにしては安価な機体に高度な機能を搭載
  • プロレベルから手のひらサイズの機体まで、非GPS環境下でも非常に安定した飛行を実現
  • 前後左右下向きの障害物を回避することで注目されている「フライトオートノミー」の原点

まとめ

いかがでしたでしょうか?

このように非GPS環境下におけるドローンの安定飛行は、産業用ドローンの今後の大きな課題であり、これを解決した時に、ドローンはさらなる活躍を見せてくれるのではないでしょうか。

ご紹介したように、GPSなしでの飛行制御はさまざまな方法がありますが、最近のトレンドとしてはカメラから得た画像を解析して自己位置を推定しながら飛行するというものが多いようです。
今後のテクノロジーの進化によってさらに優れた飛行制御システムが開発されるのが楽しみですね。

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