月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。
第四回目は「農薬散布用ドローン」について紹介していきたいと思います。
Contents
農薬散布用ドローン
産業用ドローンの活用が進んでいる領域として、よく取り上げられるのが、点検や調査、災害対策、物資輸送、そして農業ではないでしょうか。
特に農業は今後人口が減っていく中で、農業の大区画化が進んでいくとされ、担い手が少ない中で、ICT技術を活用したスマート農業が注目を集めています。
ドローンで農薬散布を!
ドローンを農業分野で活用する場合、いくつかのシーン考えられます。
ひとつは今回のテーマである農薬散布、もうひとつは、ドローンで集めたビッグデータを活用した最先端の精密農業です。
今回の農薬散布については、実は日本は30年ほど前から、大型のRCヘリを使った農薬散布をおこなってきました。
これらは、機体メーカーが日本各地に機体を飛ばすオペレーターのネットワークを作り、毎年の恒例行事のごとく、RCヘリを使って日本の水田に農薬を撒いてきたのですが、昨今ではそれらがドローンを活用したものに置き換わっていっています。
それではドローンによる農薬散布のメリットはどういいたところになるのでしょうか?
ドローンによる農薬散布は安定感抜群!
それでは、従来の大型RCヘリによる農薬散布と、マルチコプタータイプのドローンを使った農薬散布はそれぞれどういった違いがあるのか、見ていきたいと思います。
まず、飛行時間は圧倒的に大型RCヘリの方が長く飛べます。
大型RCヘリがガソリンエンジンを使っているのに比べ、ドローンはモーターとリポバッテリーの組み合わせがスタンダードです。
この場合、どうしても飛行時間は短くなります。
しかし、静音性や安定性についてはドローンが上で、狭い区画に低い高度から正確に散布することができます。
農薬は劇薬ですので、決まった場所以外に散布されると大変なことになります。
所定の位置にしっかりと散布できるのは大きなメリットではないでしょうか。
ドローンならではの機能
ドローンはご存知のとおり、各種センサーを搭載しています。
これを活用して、これまでにない安全な農薬散布をおこなえるようになっています。
例えば、DJI社の農薬散布用ドローン「AGRASS MG-1」は、ミリ波レーダーによって地上の凹凸を検知し、常に地上から一定の高度を自動で調整するようになっています。
これによって、散布量が常に一定となり、作物の質の均一化に貢献しています。
また、GPSを使って、圃場の上にルートを描き、その通りに散布させることもできます。
ドローンによって、よりオートマティックに、そして安全に農薬散布ができるようになってきたのです。
RCヘリとドローン農薬散布の使い分け
もちろん、従来の大型RCヘリと比べてデメリットもあります。
まず、ペイロードが少ないため、農薬をこまめに補充する必要があります。
そして、先ほど書いた通り、燃費の問題で、バッテリーもなくなる前に機体を戻して交換させなくてはなりません。
しかし、これらはテクノロジーの進化でいずれ解決できるものと思われており、圃場のサイズによって、RCヘリかドローンか、使い分けするのが現時点のトレンドとなっています。
ドローンによる農薬散布のメリット・デメリットのまとめ
メリット
- 静音性・安定性があり、正確に散布可能
- ドローンならではの機能がある(散布量を常に一定にする等)
デメリット
- 農薬をこまめに補充する必要がある
- 飛行時間が短い
ただし、デメリットはテクノロジーの進化でいずれ解決できるものと予想れる。
つまり農薬散布のドローンとは
狭い区画でも敷地外にはみ出すことなく、安定した散布が行える、より安全性の高い作業を可能とする散布方法なのです。
おわりに
今後、農業もビッグデータを元にした精密農業の時代に突入します。
そういった時代に、農業用のドローンが活躍するシーンを多く見ることができそうです。
農業分野におけるドローンの発展もぜひチェックしていきたいですね。
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