国産ドローン|産業用ドローン最新トレンドウォッチャーVol.8

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月に一度、キーワードを元に最新の産業用ドローンのトレンドを追いかけていく本企画。
第8回目は「国産ドローン」について紹介していきたいと思います。

国産ドローン

現在、世界のドローンの約7割は中国・DJI社製のものとされています。

日本でドローンが飛行するシーンを見ても、そのほとんどはDJI社の機体ばかり。

確かにあれだけハイスペックな機体を性能の割にはリーズナブルな価格で提供できるのはDJIの大きな強みであり、他のドローンメーカーが太刀打ちするのはなかなか難しいように感じます。

しかし、ドローンの性能が向上し、さまざまなビジネス利用が期待されるようになった昨今、ドローンの開発はコンシューマー向けと産業用の2つに分かれるようになりました。

こと、産業用の機体開発については、この分野に早くから目をつけた国産メーカーが、多くの日本企業とタッグを組み、さまざまな領域でドローンを活用したビジネスを模索しています。

そこで今回は日本の国産ドローンメーカーを紹介していきたいと思います。

ドローンの展示会でも国産ドローンメーカーはブースを構え、独自の技術をアピール。先行する海外メーカーとの差を埋めにかかっている。

PRODRONE

名古屋に本拠地を構えるPRODRONEは2015年に設立されたドローンメーカーです。

代表の河野雅一氏は映像や音響機器を取り扱うシステム5の代表を務めていますが、撮影機器とドローンの可能性に着目しK&Sとの業務提携に続いて「PRODRONE」を設立。

技術統括の副社長にK&Sの代表でRCヘリの世界で有名な菅木喜代一氏を、ソフトウェアの開発に市原和雄氏を迎え、国産ドローンメーカーとして確固たる地位を築いています。

同社の特徴としては独創的なアイデアによる機体開発が挙げられます。

米国の展示会でも大きな注目を浴びた「PD-ANY」は飛ばしたい物に自由に取り付けて、目的の場所まで飛行させるコンセプトモデルとなっており、ドローンを使って物を運ぶのではなく、運びたいものをドローンにしてしまうという逆転の発想が話題となりました。

他にも、着水できるドローン「PD4-AW-AQ」や、夜間における監視や捜索業務が可能な「PD8-AW-HS」など、活用するシーンに特化した機体を次々と生み出しており、その開発能力の高さには定評があります。

最近では、キヤノンマーケティングジャパンや三菱商事などより出資を受け、経営体制を強化する一方、KDDIやゼンリンといった企業と業務提携をするなど、幅広い分野でその活動が注目されているドローンメーカーです。

PRODRONEが2018年に発表した中型ダブルローター8枚機「PD8X」。折りたたみのできる汎用的な最新プラットフォームとして注目されている。

ACSL(株式会社自立制御システム研究所)

自律制御の分野において日本の第一人者として著名な千葉大学の野波健蔵名誉教授が2013年に立ち上げたドローンメーカーで、ACSLの名前で知られています。

ACSLは本拠地を千葉県の幕張に構え、楽天やトヨタ系の投資ファンドなどから大型の資金調達をおこない、産業用のプラットフォーム開発をおこなっています。

ACSLの特徴は、日本で開発された独自の自律制御テクノロジーを自社のプラットフォームや業界内に提供していることでしょう。

このあたりは野波氏が長年研究してきた自律制御に関するノウハウが同社の強みとなっていることは間違いありません。

また、これらのテクノロジーを搭載した、あらゆる用途に対応したドローンプラットフォームの開発を進めている点も見逃せないポイントです。

同社では自律制御システムだけでなく、ナビゲーションシステムSLAMと呼ばれる非GPS環境での自律飛行制御も開発しており、さらに自社製のアプリやソフトウェアの開発にも長けているため、ハード面だけでなく、ソフトの面においても強みをもっていると言えます。

最近では同社が開発した楽天のドローン「天空」が、東京電力とゼンリンが提唱するドローンハイウェイ構想の実証実験で、完全自律で飛行して物を目的地まで届けるなど、ACSLの機体が日本各地で実証実験に使われており、その存在感はますます大きなものとなりつつあります。

ACSL製の産業用プラットフォーム「ACSL-PF1」。この機体をベースにさまざまな目的に特化したカスタムドローンが誕生している。

エンルート

国産ドローンメーカーとして、早くからその名が知られていたエンルートは、もともとは2006年に創業者である伊豆智幸氏がRCヘリの設計や製造、販売するために設立した会社で、直営のショップも備えた企業でした。

その後、ドローンに着目した伊豆氏が2011年頃から当時で言うところのマルチコプター(今のドローン)の設計や販売を開始し、特に同年に発売された産業用ドローン「Zion」シリーズはドローンの産業用機として大きく注目を浴びることになります。

その後、スカパー系列の衛星ネットワーク社の小会社となり、2017年に伊豆氏は退任。

後任の瀧川正靖氏のもと、さまざまな利用シーンを想定したドローンの開発をおこなっています。

エンルートで早くから注目を集めていたのが、農薬散布用途の機体です。

農薬散布は、大型ヘリコプターに代わってドローンが早くから注目されていましたが、劇薬を扱うため機体の安全性について非常に厳しく問われる領域です。

そんな中、同社の「Zion AC940-D」は、2016年にドローンとしては初となる農林水産航空協会の性能確認番号を取得

ドローンを活用した農薬散布の先駆けとなる機体を開発しました。

他にも、高解像度画像で橋梁を点検するドローンや標定点不要の測量用のドローンなど、新しい技術を次々と取り込み、産業用ドローンのパイオニア的存在として、高い評価を得ています。

エンルートの農業用ドローンはその高い性能と信頼性で高い評価を得ている。展示会でもいつも大きな注目を集めている。

国産ドローンメーカーの今後

ここまで主要国産ドローンメーカー3社を紹介してきましたが、ドローンメーカーの今後についても少し触れておきたいと思います。

現在、日本において本格的な量産機はまだ少なく、そのほとんどが実証実験での使用やカスタム品だったりします。

つまり、どのメーカーも今は先行投資の時期であり、利益度外視で、さまざまなニーズに応えた機体を研究・開発しています。

この先行投資時期は、さまざまなスポンサーから投資をしてもらい、資金調達をした上で会社を運営していることになります。

まとめ

今後、国産ドローンメーカーはますます海外のメーカーとの戦いになってくることが予想されます。

しかし、RC飛行機やRCヘリで培ってきた日本の技術は世界の競合と比べても遜色ないものです。

日本のドローンが世界で活躍する日を期待せずにはいられません。

 

 

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